現在、最新のFood Codeは「2022年度版 Food Code」で第10版になります。
Food Codeをよく知らないという方は、まず下の記事をご覧ください。
FDAがFood Codeを作っているのはわかったけれど、これはガイドラインということだよね。
ということは、Food Codeを採用する・しないはそれぞれの州に委ねられているということ?
そのとおりよ。
今回の記事では各州のFood Codeの採用状況を紹介します。
Food Codeは最新の科学的知見に基づき、定期的に新しいバージョンに更新されていきます。最新のものは「2022 Food Code」で第10版になります。
Food Codeを採用する・採用しない、どの版を採用する、どの部分(章)を採用するかは各州政府の判断になります。そのため、州によって異なるバージョンのFood Codeを採用していることがあります。
そこで、今回は各州のFood Codeの採用状況を紹介します。
参考にしたのは、FDAが毎年発表している「州及び海外領土におけるFood Codeの採用状況に関する報告書」です。
それではさっそく見ていきましょう。
この記事を読んでわかること
- 州ごとのFood Codeの採用状況
- 20年以上前のFood Codeを使っている州や、そもそも採用していない州もある!
調査の対象
今回の報告書で調査の対象となったのは、全米50州とコロンビア特別区(DC)です。
なお、コロンビア特別区は州ではないですが、この報告書では州とみなし、「コロンビア特別区健康局」を州行政機関として扱っています。
また、アメリカ合衆国の海外領土(米領サモア、グアム、北マリアナ諸島、プエルトリコ、米領バージン諸島)も報告書には含まれていますが、今回は省略します。
また、採用状況は2022年12月31日時点のものになります。
各州のFood Codeの採用状況
上のマップがFood Codeの採用状況です。
それぞれの州が色分けされており、色の説明として、右下に凡例(レジェンド)があります。例えば、アラスカ州(AK、左下)はマップでは青色です。凡例を見ると、青色は2005年のFood Codeを採用しているということが分かります。
また、州に複数の行政機関がある場合は、Food Codeの最新版を採用した機関のバージョンを州の採用状況としてカウントしています。何を言っているかわからないと思いますので、丁寧に説明しますね。
アメリカの州は日本の都道府県と異なり、それぞれが独立しているため、州によって行政システムが異なります。そのため、1つの行政機関が食品ビジネスをすべて管轄している州もあれば、複数の行政機関がそれぞれ食品ビジネスを管轄している州もあります。
ジョージア州(マップ右下のGA)の場合を例として見てみます。ジョージア州には2つの行政機関、ジョージア州「健康局」と「農務局」があります。実はレストランは健康局が、小売販売店は農務局が管轄しています。
健康局が2013年のFood Codeを採用したのに対し、農務局は2017年のFood Codeを採用しています。
この場合、上のマップではジョージア州は、より新しい2017年版のFood Codeを採用している州となります。そのため、州全体が黄緑色になっています。
ただし、ジョージア州をよく見てみると小さな水色の丸があります。これは、別の機関(つまり健康局)が2013年のFood Codeを採用している、ということが分かるようになっています。
それぞれのバージョンの採用状況
次にそれぞれのバージョンの採用状況を紹介します。
バージョン | 採用している州 | 人口カバー率 |
2022 Food Code | 2州(MS, PA) | 4.8% |
2017 Food Code | 16州(AZ, DE, FL, GA, IA, IL, NC, NE, NH, NM, OK, RI, SC, TX, VA, WA) | 38.6% |
2013 Food Code | 16州(AL, AR, CO, CT, HI, ID, KY, MA, MN, MT, ND, OH, UT, WI, WV, WY) | 19.1% |
2009 Food Code | 9州(DC, KS, MD, ME, MI, MO, NV, OR, TN) | 12.6% |
2005 Food Code | 2州(AK, NJ) | 3.0% |
2001 Food Code | 4州(IN, LA, NY, VT) | 9.7% |
1999 Food Code | 0州 | – |
1997 Food Code | 0州 | – |
1995 Food Code | 1州(SD) | 0.3% |
採用せず | 1州(CA) | 11.9% |
FDAのFood Codeを一切採用していないのはカリフォルニア州(人口カバー率:11.9%)だけです。
逆を言うと、米国人口の88.1%は、少なくとも1つの州機関がFDA Food Codeのいずれかのバージョンを採用している州に住んでいます。
また、人口の62.5%は最新3バージョンのうちの1つ(2022、2017、2013年)を採用している州に住んでいます。
以上が2022年12月31日時点での各州のFood Codeの採用状況になります。
日本では食品衛生法に衛生基準が定められているため、基本的にはどこの都道府県でも同じ基準になります。
しかしアメリカでは、最新のFood Codeを採用している州もあれば、20年以上前のFood Codeをいまだに使い続けている州やそもそもFood Codeを採用していない州もあるなど、州システムの特徴が出ています。
今回はアメリカの食品安全システム全体の解説でした。
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