ここだけは押さえよう!Food Codeを読む時の注意点

ここだけは押さえよう。Food Codeを読む時の注意点

Food Codeを見ていると、ときどき文の最後に「 P 」や「 Pf 」といった上付き文字があるけど、これってどういう意味?

Food Codeを読んでいると、ときどき文の最後に「 P 」や「 Pf 」という文字があります。

(例)

FOOD EMPLOYEES shall keep their hands and exposed portions of their arms clean.P

(記載箇所:Food Code 2-301.11 Clean Condition)

「この記号はどういう意味?」というような疑問を持つかもしれません。

実はこの記号が理解できると、Food Codeをより深く理解することができます。

またこの他にも、知っているとFood Codeを読むのに役立つポイントがいつくかあります。

今回の記事では、Food Codeの「序文」の「8. 読者をサポートする情報(8. Information to Assist the User)」を使って、ここだけは押さえたいFood Codeの読み方を解説します。

それではさっそく見ていきましょう。

この記事のポイントのまとめ

  • 各規程は重要度に応じて、3つに分類されている。
  • shallは義務、may notは禁止、mayは許可を表す。
  • 定義された単語は大文字で表される。
目次

規定は重要度に応じて3つのカテゴリーに分類される

Food Code内の規定は次の3つのカテゴリーに分類されます。

重点項目(Priority Item)

重要度:大

  • 食中毒に関連する危害要因の除去、予防、または許容レベルまでの低減に直接寄与する規定。
  • この項目の他に、危害要因を直接的に管理する規定がない。
  • イメージとしてはHACCPでいうCCPに近い。
  • 上付きPで表される。(P
重点基礎項目(Priority Foundation Item)

重要度:中

  • 重点項目を補助、促進、可能にする。
  • 上付きPfで表される。(Pf
主要項目(Core Item)

重要度:小

  • 重点項目と重点基礎項目以外の項目
  • 一般的な衛生・業務管理、施設または構造に関すること、メンテナンスに関連すること。
  • イメージで言うとPRPに近い。
  • PPf が付いていない規定が該当する。

それでは、Food Code内でどの規定がどのカテゴリーに分類されるのか、少しだけ見てみます。

食品取扱者は、手および腕の露出部分を洗浄するために、次の手順で洗浄しなければならない。

(1) きれいで温かい流水で手をすすぐ。P

(2) メーカーが推奨する量の洗浄液を手につける。P

(3) 以下に注意し、少なくとも10秒から15秒間、手を激しくこすり合わせる。

  • 洗浄中に爪の中の汚れを取り除くことに特に注意する。P
  • 手や腕、指先、指の間をよくこすり洗う。P

(4) きれいな温かい流水で手を十分にすすぐ。P

(5) 洗浄後、使い捨てタオルやハンドドライヤーで手を乾燥する。P

(記載箇所:Food Code 2-301.12 Cleaning Procedure(B))

手洗いは食中毒予防において最も重要で、代わりの手段がありません。そのため、手洗い手順を示した規定はすべて「重点項目(Priority Item)」になっています。。

手洗い用シンクは、混合バルブまたは混合水栓を通じて少なくとも 29.4℃の温水を供給するように設置することPf

(記載箇所:Food Code 5-202.12 Handwashing Sink, Installation(A))

一方で、手洗い用シンクから供給される水の温度に関する規定は「重点基礎項目(Priority Foundation Item)」になっています。直接的に食中毒菌を除去する規定ではなく、手洗いを確実に行うための補助的な位置づけのためです。

従業員は、手の再汚染を避けるため、手洗いの蛇口のハンドルやトイレのドアの取っ手に触れる際に、使い捨てペーパータオルなどを使用してもよい。

(記載箇所:2-301.12 Cleaning Procedure (C))

この規定は PPf もついていないことから「主要項目(Priority Foundation Item)」になります。手指の再汚染を防止するために実施することが望ましい規定になります。

hand washing

このようにFood Code内のすべての規定は、リスクに応じた重みづけがされています。

日本の食品衛生法の基準では、このようなリスクに応じた分類がされていないため、どの項目が重要なのかが分かりづらいです。そのため、Food Codeを見て、同じ規定がどれくらい重要なのかを確認してもよいかもしれません。

「shall」、「may not」、「may」の違い

Food Codeに限らず、英語の法令を読んでいると、この規定は義務なのか、望ましいものなのか、と疑問に思うことがあります。

特に注意しなければならないこととして、通常の英語の訳と必ずしも一緒でないという点です。

Food Code内では、以下のように決まっています。

shall

その行為が命令であることを意味する。

(例)FOOD EMPLOYEES shall keep their hands and exposed portions of their arms clean.P

(訳)従業員は、手および腕の露出部分を清潔に保たなければならない

(記載箇所:2-301.11 Clean Condition)

may not

絶対的な禁止を意味する。

(例)FOOD prepared in a private home may not be used or offered for human consumption in a FOOD ESTABLISHMENT. P

個人宅で調理された食品は、食品営業施設において使用および提供することはできない

(記載箇所:3-201.11 Compliance with Food Law)

may

その行為が許可されていることを意味する。

(例)To avoid recontaminating their hands or surrogate prosthetic devices, FOOD EMPLOYEES may use disposable paper towels or similar clean barriers when touching surfaces such as manually operated faucet handles on a HANDWASHING SINK or the handle of a restroom door.

従業員は、手の再汚染を避けるため、手洗いの蛇口のハンドルやトイレのドアの取っ手に触れる際に、使い捨てペーパータオルなどを使用してもよい

(記載箇所:2-301.11 Clean Condition(C))

この3つの意味の違いをきちんと押さえれば、各規程の言いたいことがちゃんと理解できるようになります。

定義された単語は「大文字」になる

先程のセクションでFood Codeの原文を示しました。いくつかの単語が、文の途中なのに大文字になっていることに気がついたでしょうか。

例えば直前の「may」の例で出てきた「FOOD EMPLOYEES」や「HANDWASHING SINK」です。

may

その行為が許可されていることを意味する。

(例)To avoid recontaminating their hands or surrogate prosthetic devices, FOOD EMPLOYEES may use disposable paper towels or similar clean barriers when touching surfaces such as manually operated faucet handles on a HANDWASHING SINK or the handle of a restroom door.

従業員は、手の再汚染を避けるため、手洗いの蛇口のハンドルやトイレのドアの取っ手に触れる際に、使い捨てペーパータオルなどを使用してもよい。

(記載箇所:2-301.11 Clean Condition(C))

この書き方はSmall caps(小さな大文字)と呼ばれ、この書き方自体に意味があります。しかし、Food Code内で用いられる場合、別の意味があります。

実はFood Code中で定義された単語は、大文字(Small cap)で記載されます。つまり、先ほど出てきた「FOOD EMPLOYEES」や「HANDWASHING SINK」は、Food Code内で定義されているということです。

実は、Food Codeの第1章が定義になっています。ちなみに「FOOD EMPLOYEE」の定義は下のようになっています。

“Food employee” means an individual working with unPACKAGED FOOD, FOOD EQUIPMENT or UTENSILS, or FOOD-CONTACT SURFACES.

「従業員」とは、包装されていない食品、器具もしくは食器、または食品接触面に触れる個人をいう。

(記載箇所:Food Code 1-201.10 Statement of Application and Listing of Terms)

この「Food employee」の定義の中でも、いくつかの大文字の単語(PACKAGED、FOOD、EQUIPMENT、UTENSILSなど)が出てきました。言うまでもなく、これらの単語もFood Code内で定義されているということです。

Food Codeの本文を読んでいて、大文字を見つけたときは、第1章に戻って定義を確認してみましょう。

chef cooking dishes

以上がFood Codeを読む上で知っていると役立つ情報です。

いかがでしょうか。今回の記事にあった3点を知っているだけで、Food Codeの理解や読みやすさが格段に上がると思います。

Food Codeの本文の解説は、また別の機会に行いたいと思います。みなさんも、ぜひFood Codeを読んでみてください!

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