自分の周りの業界でも、AIやIoT、DXがどんどん活用されているみたい。
私も食品安全分野にデジタル技術を取り入れたいけど、何を学べばよいのだろう。
様々な分野において、デジタル化やAI技術の利用が進んでいます。日本においても、最近AIやIoT、DXという言葉を聞かない日はありません。
それでは食品安全の分野はどうでしょうか。
日本の行政分野では、食品安全分野へのデジタル技術の応用について、ほとんど話を聞きません。しかし、アメリカにおいてはものすごいスピードで、新しい技術の利用が進んでいます。
例えば、FDAの今後10年間の計画では「より安全で、よりデジタルで、トレーサブルな食品システムを構築する」と言っています。計画の中で、ブロックチェーンを用いたトレーサビリティ、AIを用いた予測分析、データトラスト設立によるビッグデータ分析といった具体的な目標が挙げられています。
また、アメリカのいくつかの自治体ではソーシャルメディア(Twitterや口コミ)に投稿されたデータを利用して食中毒を探知するシステムがすでに稼働しています。
例を挙げればきりがありません。
このように、日本の様々な業界で現在デジタル化が進んでおり、そして海外でも食品安全分野におけるデジタル技術の活用が進んでいる状況があります。
そのため、今後日本で食品安全にかかわる人であっても、デジタル技術について理解しており、それを業務に生かすことができる人材、つまりデジタルリテラシーがある人材の需要は非常に高いです。
日本においても、政府によりデジタルリテラシー向上の様々な取り組みが行われています。例えば、小中高校でプログラミングが必修になる、社会人のリスキングが推進されるなどです。
すでに社会人の皆さんは、「何かしなければいけない!」と焦っているのではないでしょうか。
でも、「いきなりプログラミング、AI、Iot、ブロックチェーンなんて難しくて、理解できるわけがない!」と思われるかもしれません。
そこで、この記事ではみなさんの不安を解消できるよう、デジタルリテラシー向上の近道について解説します。
まずは結論から
結論から言うと、一番の近道は「Python(パイソン)を使ったプログラミング」を学ぶことです。
「Pythonって何?」「いきなりプログラミングなんて無理!」と思われるかもしれません。
しかし、最後まで読んでいただければ、なぜ「Pythonを使ったプログラミングを学ぶこと」が、デジタルリテラシー向上に一番の近道なのか理解できると思います。
Python(パイソン)は、1991年にオランダ人のグイド・ヴァン・ロッサム氏により開発されたプログラミング言語です。
コードがシンプルでわかりやすいため、初学者が学びやすい言語です。また、学習コストが他の言語より低く、社会人が学ぶ言語としても人気です。
そのため、プログラミングの人気ランキングでは、必ずと言っていいほど上位にランクインします。
Pythonを学べば何でもできるの?
Pythonは確かに初学者向けの分かりやすい言語ですが、Pythonですべてのことができるわけではありません。
世の中にはプログラミング言語は数百、数千あると言われており、それぞれの言語で得意なこと、苦手なことがあります。
以下に、Pythonの「得意なこと」と「苦手なこと」を簡単にまとめました。
Pythonが得意なこと
- AI(人工知能)の開発
- データ分析
- 日常業務の自動化
- Webアプリケーションの開発
- Webサイトからのデータ収集・分析
- ブロックチェーンのアプリ開発
FDAの今後10年間の計画にあった「ブロックチェーンを用いたトレーサビリティ」、「AIを用いた予測分析」、「データトラスト設立によるビッグデータ分析」などはPythonが得意な分野ですね。
Pythonが苦手なこと
- スマホアプリ開発
- 高速な処理が求められるもの
- デスクトップアプリ開発
一方Pythonにも苦手な分野があり、例えば「スマホアプリを開発したい!」と思うのであれば、Pythonではなく、目的により適した言語(Swift、Java、Kotlinなど)を学んだ方がよいです。
このように、Pythonは苦手なことがありますが、比較的できることが多い汎用性の高い言語です。
なぜPythonを学ぶべきなのか
この記事を読んでいる皆さんはITエンジニアではなく、食品安全分野で働いている人、または食品安全に関心がある人だと思います。
そのため、例えば業務でウェブアプリが必要になった場合、社内や社外のITエンジニアの人に依頼してウェブアプリを開発してもらうでしょう。皆さんが一からコードを書いて、アプリを開発することはないと思います。
それでは、なぜPythonを学ぶ必要があるのでしょうか?
業務でウェブアプリが必要になった場合、エンジニアに「〇〇ができるアプリを開発してください。」と依頼します。
しかし、私たちのような非エンジニアは、ITについて何の知識もないことが多いです。そのため、仕様がきちんと理解できない、エンジニアの言っていることが理解できないといったミスコミュニケーションことが起きます。
すると自分が思っていたアプリができなかったり、想定より時間やお金がかかってしまった、ということが起こります。
例えば「ウェブアプリケーション」の説明を見てみましょう。
WEBアプリケーションとは?
WEBアプリケーションとは、WEBの仕組みを利用したアプリケーションのことです。一般的なコーポレートサイトやブログサイトなどとは異なり、高度な機能を持ったWEBサイトです。WEBアプリケーションを開発するにはHTMLだけではなくWEBプログラムを利用するためフレームワークを利用します。他のWEBアプリケーション機能が共有されているものを利用するために「WEB API」を利用することもあります。
ITM Inc.
エンジニアには簡単な文ですが、非エンジニアの人にとっては「HTML」「フレームワーク」「WEB API」と、よくわからない単語が並び、難しいですね。
そこでPythonを学ぶことが重要になります!
Pythonは先ほど説明したように、汎用性が高い言語でいろいろなことができます。
そのためPythonの学習を通じて、プログラミングだけでなく、Webサイトやインターネットの仕組みが理解でき、幅広いデジタルリテラシーを向上させることができます。
先ほどの「HTML」「フレームワーク」「WEB API」も、Python学習をしていると必ず出てくる単語です。
デジタルリテラシーが向上すれば、自身が非エンジニアとエンジニアを繋ぐ存在となったり、自身が依頼する際にも、自分の要望をきちんと相手に伝えることができます。このようなことができる人材はほとんどいないので、会社でかなり重宝されます。
もちろん簡単なウェブアプリの開発(例えばこのような)、データ分析や業務の自動化など、皆さん自身がPythonを使って直接業務に生かすこともできます。
また、Pythonを通じてプログラミングの考え方や勉強方法、ITに関する幅広い知識を身につければ、他の言語やITサービスについて学ぶ際にもハードルが低くなります。
このような理由により、デジタルリテラシー向上にはPythonの学習が最適なわけです。
デジタルリテラシー向上のコツは?
わざわざプログラミングを学ばなくても、ITに関する知識は、本や動画を見れば分かるようにならないの?
結論から言うと、デジタルリテラシーを向上させるのに最も効率的なやり方は、実際に見て、触って、作ってみることです。
現在多くの人が、プログラミングやITのことを勉強しようと思っています。そして、本を読む、動画を見ることから初めてしまい、挫折してしまいます。
これはなぜでしょうか?
プログラミングの学習には、今までの学校教育の「インプットを主体とする方法」から180度意識を変え、アウトプットに重点を置いた学習方法にする必要があります。
これは、英語などの自然言語を学ぶ時も同じですね。
例えば、英語の授業で教科書を読んでいて、「関係代名詞?過去完了形?この知識何に使うんだろう。」と思った経験はないでしょうか。このような「インプット型学習」だと、実用性が分からず、楽しくないですね。そして、楽しくないと長続きしません。(結果として日本人の英語力は世界的に見て非常に低いです。)
でも実際に外国人の方と話をして、アウトプットしてみると、とても楽しく、「もっと勉強してみよう!」という気持ちになります。
プログラミングも同じで、教科書だけを読んでも、動画だけ見ても、(非常につまらなくて)知識もつかなければ、上達もしません。
実際に手を動かしてみて、何度も何度も失敗を繰り返し、自分で解決策を探し、なにか完成品を作ることで上達します。そのような実践を通して得た「知識」「経験」が、まさに「リテラシー」です。
この記事では、デジタルリテラシー向上が必要な理由、そして向上の近道について説明しました。
この記事を読んで、「不安だけど、とりあえずやってみよう!」と思ったあなたは、ものすごい前進だと思います。
次回からは、Pythonを実際に使うための準備を説明していきます。
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