「買ってはいけない食品」「危険な添加物」にだまされるな。危険な食品ベスト10から本当に考えるべきこと

「買ってはいけない食品」「危険な添加物」にだまされるな。危険な食品ベスト10から本当に考えるべきこと

インターネットで検索すると「〇〇は危険だから食べるな!」という記事を見たよ。本当に食べない方がよいのかな?

インターネットで「危険な食品」と検索すると、「危険な食品添加物」や「ガンになる食品10選」、「食べてはいけない〇〇食品」、「専門家が食べない〇〇」といった、かなり過激なタイトルが並びます。

この記事を読んでいる皆さんであれば、食品安全の情報リテラシーが高いので、これらの偽情報に惑わされることはないと思います。

一方で、実際に健康被害が多い食品というものは存在します。

そこで、この記事では、アメリカの「危険な食品ベスト10」を見てみたいと思います。

アメリカの危険な食品ランキングを見ることで、日本に住む私たちが「何を考えるべきなのか」を考えるきっかけになればと思います。

目次

だれが発表したランキング?

この記事では、コンシューマー・レポート(Consumer Reports)に掲載された記事「10 Risky Recalled Foods You Should Know About」を紹介します。

コンシューマー・レポートとは何なのですか?

コンシューマー・レポートは、アメリカの「非営利消費者団体」かつ その団体が発行する「雑誌名」です。

コンシューマー・レポートは1936年に設立された消費者団体です。

消費者が製品の安全性や性能を比較する際に利用できる情報源になるため、独自の試験施設で車、家電、家具といった様々な製品のテストを行い、比較結果を公表しています。

コンシューマー・レポートは、テストするすべての製品に対価を払っており、企業からの広告を一切受けていません。そのため、公平な比較を行うことができます。

どうやって調査したのか

コンシューマー・レポートの食品安全専門家が、2017年から2022年までに発生したリコールと食中毒の発生状況(FDA、USDA、CDCに寄せられたもの)を集計しました。

今回の調査では、細菌汚染によるリコールや食中毒を対象とし、頻度がそれほど多くないアレルゲンや異物混入は含めていません。

また、アメリカでは生乳(無殺菌乳)による食中毒が度々報告されていますが、特定の人しか飲んでおらず、頻度も少ないため、本調査には含まれません。

順位付けは、患者数、死亡者数、食中毒の規模、リコールされた回数、リコールされた食品の総量で計算されています。

実際の被害の状況に基づいているのですね。

危険な食品ベスト10

それでは、ここからは危険な食品の順位を紹介していきます。

第1位:葉物野菜

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原因食品ロメインレタス、袋詰めサラダ
原因菌大腸菌、リステリア
死亡者数11
患者数614
リコール/食中毒数50
回収量 4,390,638ケース
romaine lettuce
bagged salad
画像:FDA

葉物野菜を原因とする食中毒は、今回の調査で最も多い死亡者数となっています。

葉物野菜が食中毒の原因になる大きな理由は、葉物野菜を栽培する際に使われる灌漑用水です。農地の近くで家畜が飼育されており、その家畜の糞尿が灌漑用水に染み込み、作物を汚染することが知られています。

また、栽培時に汚染されなくても、その後の加工などの工程で汚染されることがあります。葉物野菜をパック詰めする加工場はそれほど多くないため、一つの施設での汚染が、数十種類の製品、数百万ケースの汚染につながることがあります。

さらに、リステリアという細菌は、農場や加工場などにある機械や冷蔵庫の湿った、冷たい場所で繁殖します。一度リステリアが機械に付着すると、食品が加工場内を移動する際に、菌が施設全体を移動し汚染します。

そして、ロメインレタス、袋詰めサラダは生で食べる食品です。そのため、一度汚染されると、その後に殺菌工程がないため、食中毒が発生します。

第2位:デリミート、チーズ

delicious snacks and antipasti on a wooden table
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原因食品ソーセージ、サラミ、ハム、ランチョンミート、スライスチーズ、ソフトチーズ
原因菌リステリア
死亡者数7
患者数409
リコール/食中毒数122
回収量7,677トン

デリ(店頭販売している惣菜店)では、チーズやハムなどを冷蔵ケースにいれて販売しています。しかし、原因菌となるリステリアは、冷蔵庫のような低温下でも増殖することができます。

また、デリではスライサーなどでチーズやハムを切って「量り売り」をしています。そのため、スライサーがリステリアに汚染されていた場合、器具を通じて、食品が汚染されます。

第3位:ひき肉

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原因食品ひき肉
原因菌大腸菌、サルモネラ
死亡者数2
患者数643
リコール/食中毒数22
回収量6,234トン
Two pounds of organic grassfed ground beef in package

牛は腸管出血性大腸菌を保菌していることがあり、食肉処理の過程で牛肉が腸管出血性大腸菌に汚染されることが稀にあります。

2022年にコンシューマー・レポートがスーパーマーケットで販売されていたひき肉を検査したところ、腸管出血性大腸菌を検出し、その結果約13トンものひき肉が回収されました。

このように、食肉中の腸管出血性大腸菌の汚染を完全に汚染をゼロにすることは難しいです。

第4位:たまねぎ

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原因食品赤たまねぎ、甘玉ねぎ、白たまねぎ
原因菌サルモネラ
死亡者数0
患者数2,167
リコール/食中毒数13
回収量35,387トン
Onion slice

2020年2021年に玉ねぎで大規模な食中毒があり、この2つの食中毒で2,167人が感染し、427人が入院しました。

FDAの調査によれば、葉物野菜の汚染と同様、灌漑用水の汚染が強く疑われたとのことです。その他にも、近隣で羊が飼育されていた、鳥やその他の野生動物が侵入可能の状況であったことから、これらの動物の糞が原因である可能性も指摘されています。

第5位:七面鳥(ターキー)

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原因食品七面鳥(ひき肉、丸ごと、部位も含む)
原因菌サルモネラ
死亡者数1
患者数398
リコール/食中毒数4
回収量176トン
Turkey

第6位:鶏肉

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原因食品鶏肉(ひき肉、丸ごと、部位も含む)
原因菌サルモネラ
死亡者数2
患者数190
リコール/食中毒数4
回収量88トン
Raw chicken meat on wooden board

七面鳥、鶏肉については、サルモネラに高い確率で汚染されているため、ひき肉だけでなく、部分肉や丸の状態でも注意が必要になります。

最近USDA(米国農務省)が、鶏肉半製品のサルモネラの基準を設定したとして、大きくニュースになりました。

第7位:パパイヤ

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原因食品パパイヤ
原因菌サルモネラ
死亡者数2
患者数332
リコール/食中毒数12
回収量273トン
Papaya

特にメキシコから輸入されるパパイヤのリスクが高いようです。

第8位:桃

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原因食品
原因菌サルモネラ
死亡者数0
患者数101
リコール/食中毒数6
回収量51,284トン
peaches

2020年に発生したサルモネラ食中毒では、桃の果樹園の近くに家畜の肥育場がありました。そこから埃や土によって菌が運ばれて、作物に付着した可能性が示唆されています。

第9位:メロン

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原因食品カットされたカンタロープ、ハネデュー、スイカ;丸ごとのカンタロープ
原因菌サルモネラ
死亡者数0
患者数302
リコール/食中毒数4
回収量279,205個、946個の缶入りメロン
cantalope

メロンについては、販売前に半分や角切り、キューブ上にカットされることが多く、その際に表面に付着していた細菌が果肉に移り、食中毒になることがあります。

第10位:小麦粉

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原因食品未加熱の小麦粉、クッキー・ブラウニー・ケーキ・ホットケーキなどのミックス粉、事前に作られたケーキ生地
原因菌大腸菌、サルモネラ
死亡者数0
患者数44
リコール/食中毒数22
回収量データ入手不可
flour dough

小麦は屋外で育つため、家畜が飼育されている近隣の農場だけでなく、鹿や鳥などの野生動物の糞からも大腸菌やサルモネラ菌に汚染される可能性があります

小麦は収穫され、工場に運ばれ、粉になります。しかし、工場での製粉過程で病原菌を死滅させる工程はないため、小麦に付着した微生物は、最終製品である小麦粉になっても残っています。

そのため、作ったケーキ生地や衣を生で食べると、食中毒になる恐れがあります。

ランキングを通して伝えたいこと

コンシューマー・レポートは消費者団体ですが、これらの食品を「絶対食べてはいけない!」と恐怖を煽っているわけではなく、以下のように伝えています。

After all, these foods are all usually safe, and many of them are in fact important parts of a healthy diet.

(結局のところ、これらの食品は通常安全であり、その多くは実際、健康的な食生活の重要な一部です。)

Consumer Reports

そして、このランキングを通じて消費者に対して、基本的な食中毒予防の大切さ(手を洗う、加熱するなど)、妊婦などのハイリスクグループにあっては代替食を検討する、そしてリコール情報に注意することなどを伝えています。

さらに、行政、生産者、小売業者のこれらの食品に対する安全性向上の取り組みも紹介しています。

日本の「〇〇は危ない」ランキングとは一線を画しており、きちんと公平な情報を消費者に提供しています。

おわりに

以上がアメリカにおける「危険な食品10選」です。

日本では、食中毒と結びつかない食品がほとんどでしたね。

このランキングを紹介した理由は、コンシューマー・レポートの考え方と同様に、みなさんに「危険だからこれらの食品を避けましょう!」と伝えるためではありません。

日本にいる私たちが、次のようなことを考える「きっかけ」になればと思い紹介しました。

  • これらの食品はアメリカで問題になっているのに、なぜ日本では問題にならないのか。
  • 日本でこれらの食品のリコールや食中毒は過去発生しているか。
  • 自分の施設でもこれらの食品を使っているが、ここで挙げられたような食品と危害要因の組み合わせを分析しているか。
  • 日本でコンシューマー・レポートのような「危険な食品10選」を作る場合、どのような食品と微生物の組み合わせになるか。それらの食品に対する行政や事業者の対策はどのようなものがあるか。
  • このランキング(2017~2022年)と、その後6年間(2023~2028年)のランキングを比較すると、含まれる食品は同じか、異なるか。

アメリカだけでなく、いろいろな国のこのようなランキングを比較すると、その国の特徴や国同士の共通点といった新たな発見がありそうですね。

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