

体調が悪くなって病院を受診したら、翌日くらいには食中毒かどうか分かるの?
「あの店で食中毒が起こった」や「食中毒になった」というニュースやSNSはよく見ます。
でも、体調が悪くなってから「食中毒である」と断定されるには、どれくらい時間がかかるか知っていますか。
2、3日?それとも数週間かかるのでしょうか。
この記事では、CDCのウェブサイトを参考に、アメリカでの広域食中毒の場合に、「食中毒」と判断されるまでどれくらい時間がかかるかを紹介します。
この記事を読んでわかること
- 広域の食中毒の場合、食中毒の一部であると関連づけられるのに3~4週間かかる。
以下のステップは、あなたが汚染された食品を食べた日から、あなたの病気が広域食中毒の一部であると確認されるまでの、おおよその日数を示しています。。
0日目 食品が汚染される
1日目 汚染された食品を食べる
3日目 体調が悪くなる
食中毒の症状(吐き気や下痢など)は、汚染された食品を食べてから数時間~数週間後に始まります。
下の表は、代表的な食中毒菌に感染してから症状が出るまでの一般的な期間を示しています。
病原菌の種類 | 食べた後に症状が出るまでの期間 |
---|---|
サルモネラ菌 | 6時間~6日 |
ビブリオ | 1~2日 |
カンピロバクター | 2~5日 |
大腸菌 | 3~4日 |
リステリア菌 | 2~6週間 |
このように、汚染された食品を食べてすぐに(数時間後に)症状がでる場合もあれば、数日後、または数週間後に症状が現れる場合もあります。
今回の例では食べてから2日後に体調が悪くなったとして日数を計算しています。
5日目 まだ体調が悪いので、医療機関を受診する


体調がなかなか回復しないため、医療機関を受診します。
医療機関では、何が原因であなたが病気になっているかを知るために、あなたの便のサンプルを採取します。
医療機関は採取したサンプルを検査機関に送ります。
6日目 検査機関で採取されたサンプルを検査する
検査機関にサンプルが到着します。検査の結果が分かるのに1~3日ほどかかります。
9日目 検査の結果、病気の原因となっている菌がわかる
9~16日目 検出された病原菌を公衆衛生研究所に送る
検査機関は検出した病原菌を、さらに詳細な検査をするため、公衆衛生研究所(公的な検査機関)に送ります。
発送には、交通機関の手配や距離にもよりますが、最大1週間かかることがあります。
16~21日目:公衆衛生研究所が詳細な検査を実施
公衆衛生研究所は、病原菌のDNAフィンガープリント(病原菌の指紋)を調べる検査を行います。
このときに行われるのが「全ゲノム配列決定(Whole Genome Sequencing:WGS)」とよばれる方法です。全ゲノム配列決定については下の記事を参考にして下さい。


WGSの実施とその結果の分析(細菌が抗生物質に対して耐性を持つかどうかなど)には、菌によって2~10日かかることがあります。
22日目 公衆衛生研究所がWGSの結果をCDCに送る


23日目 あなたの病気が他の食中毒と関連しているかどうか判断する


CDCでは、あなたの病気の原因となっている菌が、PulseNetに登録されている他の人から検出された菌と遺伝的に近いかどうかを確認します。
他の人の菌と遺伝的に近い場合、同じ汚染された食品を食べて食中毒になったことが強く疑われます。
2つの菌が遺伝的に近くない場合、共通の食品ではなく、別の要因により病気になったと考えられます。
今回の例では、汚染された食品を食べてから23日後に、広域な食中毒の一部であると判断されています。しかし、菌の種類によっては、もっと時間がかかることがあります。例えば「リステリア菌」は汚染された食品を食べてから発症までに数週間かかります。
また、実際にはここからさらに詳細な食中毒調査が行われます。そのため、原因となった食品が特定されるのに、追加で数週間、または数か月かかります。





以上のように食中毒の調査には時間がかかります。
食中毒の拡大防止と再発防止のため、食中毒の調査にできる限り協力することが大切です。
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